時々、風景と心象とがその時はたらく五感のどれかに呼応して一束になり、ピンと鋭くとがった針でただ一点を同時に刺されるような感覚になる。身体の表面は寒く身震いを憶え、しかし中心は熱く、それから鼻の中がツンと痛み、それを逃したくない。直後、目頭が熱くなったりする。
またあるときは、いつも自分の5cm後ろにいる自分と主観の自分とがぴたりと重なって、自分の中にある、普段はショーケースの中に入っていて直接は触れないものが直接に触れられ、強く揺さぶられるのを感じる。その時僕は、ある種禁忌に近いものに感じながら、没頭するほかない。儚い時間。