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「マネーのクズ −谷拓哉(パンプキンポテトフライ)編−」


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「お父さんに会うために70万円を希望します」そう言ってチョコレートプラネットチャンネル”マネーのクズ”企画第6弾に出演したのはお笑いコンビパンプキンポテトフライ・谷。現在放映中のテレビドラマ「だが、情熱はある」にも出演した勢いのある11年目だ。

企画内容は、毎回”クズ”として芸人が登場し、長田社長に必要な金額の投資をお願いするというもの。コストの内訳や熱意、目的を達成した際の長田社長へのリターンなどを話し、最終的に長田社長の投資額が”クズ”の希望額を超えればマネー成立、現金が手渡される。

 

あらすじ

両親が離婚して以来、長い間会えていない父親に”ちゃんとした状態で会いたい”との思いで、ホテル暮らしや携帯のない生活からの脱却の資金として70万円を希望する谷。しかしそこにはホテル暮らしを共にしているという謎の女の姿が。長田社長・じろう社長(シソンヌ)はホテル代を2年半も払ってくれている”女”について詳しくを語りたがらない谷を不審に思い問い詰めていくと、意外な人物との関係が明らかに…

※可能であれば最初42秒近くあるダイジェストを飛ばして見てほしい。

コメント欄に「記憶を消してもう一回見たい作品」とあるように、谷のひょうひょうとした掴み所のない”クズ”っぷりは、中盤まで視聴者・長田社長・じろう社長・吉田栄作(きちだえいつくこと松尾)全員の頭の中に大きなはてなマークを描く。時々垣間見える太々しいほどの父親への思いと、”女”の正体を意地でも明かさない執念は後半の特大のカミングアウトへの布石だった。

 

⚠️ネタバレありの感想

芸人が二者択一を迫られる際、視聴者はそこに無意識にお笑いの空気感を嗅ぎつける事がある。お笑いの空気感は視聴者に安心してお笑いを楽しんでもらう事ができる。これまでに見たようなパターンだから展開が読めて見やすいからだ。今回の谷の「見せません」を続ける姿勢や態度からはその空気感が一切感じられない。ただあらゆる責任を背負いたくないというクズ男の、世間一般では”ノリが悪い”と一刀両断されてしまうようなガチの拒否が続くだけである。見ている僕たちは素性の分からない谷の異常なほどの執着に理解が追いつかず、見ていて何度何度も裏切られる。従来のお笑いのノリの向こう側にある素人のようなノリの悪さと、”クズ”特有の首尾一貫性と頑固さだけで十分おもしろい企画として成立するのに、その上でさらにチョコプラ・じろうも谷の素性を知らないがために視聴者と同じように裏切られ、我々の代弁者のようなリアクションをとってくれ、共感性も刺激される。台本なし・地上波では見られない特別なおもしろさだった。