もっとわすれる!

面白かったテレビ・YouTubeについて書きます note▷ https://note.com/131_taka

星野源「そして生活はつづく」引用

全ての人に平等に課せられているものは、いずれ訪れる「死」と、それまで延々とつづく「生活」だけなのである。

でも私は、生活というものがすごく苦手だ。

昔から、この劣等感の塊のような自分から逃げたいと思っていた。だからそんな自分を忘れさせてくれる映画や芝居、音楽やマンガなどに夢中になった。しかし夢中になればなるほど、その逃避の時間が終わって普通の生活に戻る瞬間、とてつもない虚無感に襲われた。でも当たり前だ。逃げているだけでは自分は変わらない。

そこで私は、その逃避できる世界を作る側に回りたいと思った。演劇に夢中になり、役者をやったり脚本を書いた。音楽に夢中になり、楽器を練習して歌を歌った。物書きに憧れて、誰に見せるわけでもない小説を書いた。やがてその中のいくつかはいつの間にか自分の職業になっていた。そして、その楽しいことでお金がもらえるなんてまったく夢のようだと思った。

 

文春文庫2013年版(26ページ〜27ページ)

 

 

*時々読み返したくなるだろうから引用してここに載せておく