もっとわすれる!

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日記⑩+⑤

10月6日

予約していた炊飯器のピーという無機質な電子音をアラームがわりに目を覚ました。カーテンを開いてから洗濯機を回した。それから歯を磨いた。数日前から水垢の気になっていた便所を掃除した。それが終わると同時にちょうど洗濯が終わり、洗濯物を干した。全ては概ねうまく進んでいるように見えたが、僕はそれらにまるで自分の手が加えられていないような距離感を感じていた。

それから僕は電車に乗って遠出をした。目的の駅に着く直前、『ノルウェイの森』を読み終えて、次のような文章を書いた。厭に生意気な文章だ。

 

この作品について書かれたどんな文章も今は目の前をすらすらと流れてしまって捉えられない。この作品と僕との間に割り込める言葉の何も無いことを知ってひとまず安心している。結末には些か満足のいかないところがある。それでも二十歳の僕にとって大きな作品であることに相違ない。2021年、秋ー

 

その辺りから今日という日はいくらか後々の僕にとって意味を持つことになるような気がした。少なくとも僕の周りでは誰も死んではいないし、誰も僕を困らせるようなことを言い出さない。(それはいくらか淋しいことではあるが)阪神が残りの試合でヤクルトを逆転し、優勝してくれさえすれば、それで万事良い。家に着いた僕は瓶の残りのウイスキーを飲み干してしまうと、灯りを消して目を瞑った。深い眠りだった。鳥の巣のような、箱に入ったクッキーを保護する緩衝材のような、木屑のような、そういうものに囲まれた心地で深く眠った。

 

 

 

 

 

 

 

ザ・マミィ『ハルキ〜〜!』f:id:takaabgata:20211006142220j:image